平成17年10月13日(木)に開催された茨城県議会環境商工常任委員会で西条県議が質問を行ないました。
今年6月、兵庫県尼崎市の「クボタ旧神崎工場」の周辺住民に中皮腫が発生していることが明らかとなったことから大きな社会問題として広がっているアスベスト問題、さらに神栖のヒ素問題についてみずからの見解を述べながら、次のように県の取り組み姿勢をただしました。
行政も政治も県民・国民が安心して生活できる環境をいかに作るかが大きな使命だと思うが、アスベスト問題について、具体的にどういう形で除去をしているのか。例えば飛散しないようにコンクリートで固める等の具体的な技術を伺いたい。
水や薬液で湿らせて飛ばないようにし、ビニールシート等で囲って外と隔離し飛散しないようにする。そこに集塵機をつけ負圧にして引っ張って外へ漏れないようにする。その後、集められたものは飛散性の高いもの(廃石綿)は特別管理産廃物の処理処分基準に従って収集・運搬・処分することになる。
最終的に本当にきちんと処理されたことを確認できて初めて安心が生まれてくる。最終的な処理はどこに持っていくのか。
一つは溶融処理して飛散しないようにする方法、もう一つは漏えいしないような容器に二重に入れて埋立処分場で処分する方法。
特別管理産業廃棄物の場合には管理型でいいが、例えば水銀などについては遮断型で処理しているのではないか。
アスベスト本体については特別管理産業廃棄物の許可を持っている業者に処分させている。
最終的な処理がきちんとできているかいないかが大きな問題だ。行政はきちんと予算計上して処理をするわけだから、きちんと将来にわたって処理できるんだろうという確認をとり、安全だということを宣言すべきだ。「処理していますよ」と言いながら実際には不法投棄で大きな問題が起きる。神栖の焼却灰の固形化にしても「試験的にやる」と言って東村山市などの自治体から出たものだ。その業者が倒産し神栖に野ざらしとなり、最終的には自治体が負担して処理をした。最終処理をきちんと確認することが県民に安心を与えることにつながると思う。最終処理がきちんとできるよう、監視体制をもっときちんとしていただきたい。
神栖のヒ素問題だが、ヒ素の発覚は平成15年3月17日の水質検査に端を発している。ジフェニルアルシン酸というヒ素は自然界にない有機ヒ素であり、人為的に作ったものだ。神栖に旧陸軍の神之池航空隊研究所もあったので投棄されたのではないか。
従って国が関与すべきであるということから、環境省はじめ国は県と協力をしてこの対処にあたっている。今日まですでに2年半がたつが、この間コンクリートの塊(かたまり)がいくつか見つかった。この塊が原因なのかそうではないのか?
第2点は、茨城県警に原因不明の刑事告発をしている状況についてどのようになっているのか。
第3点は、ヒ素にかかわる撤去をはじめとする総経費・費用はどれぐらいかかっているのか。
第4点は、被害者の皆さんの補償について議論がなされているが、今後の見通しはどうか。今のところ暫定的な手帳を交付することで対処しているが、今後の方向を伺う。
発見されたコンクリートの塊が汚染原因かどうかについて環境省は、総合調査検討委員会の意見を聞いた。「可能性が高い」というところまでで断定はしていない。他の汚染源の可能性は委員会の中でも出ていた。
告発の状況は、被害者住民が平成17年8月3日に告訴し、県警は8月30日に受理した。
総経費は平成15年から16年にかけて国で15億円。
補償の見通しだが、緊急措置事業が3年間で切れる。県・市とも引き続き継続してもらえるよう要望している。
2年半かかってどれ一つ明確になっているものがない。対応が遅い。問題なのは今後出てくる補償問題。実際にヒ素によって被害にあった方々の補償の持っていきどころがないとなると、この人達はどうするのか?原因が特定されなければ法律的にも補償の請求がしにくいという面がある。それではあまりにも気の毒だ。今後の見通しを伺いたい。
原因者を特定すべく生活環境部内に専従班をつくり、県の調査を開始している。県として国に対し、早急に汚染原因を解明してもらうべく要望しているが、引き続き汚染原因者の解明に努力していきたい。